【国際案件の交渉と調達】購買担当が明かすハンガリーパビリオン建設の舞台裏

田村Executiveインタビュー

万博プロジェクト、田村さんの役割とは?

今回ご紹介するのは、2025年大阪・関西万博にてハンガリーパビリオン建設プロジェクトの“裏方”として活躍した田村さんのインタビューです。見積もり作成や業者選定といった購買積算部門の業務を通じて、現場を支え続けた田村さん。その仕事ぶりと、プロジェクトにかけた思いに迫ります。

見積もりから始まったプロジェクトマネジメント

田村さんが所属するのは、購買積算部門。万博プロジェクトでは、最初の見積もり作成からスタートし、協力業者の選定や調整、さらにはプロジェクト全体の予算管理・進捗確認にも携わりました。

表舞台である現場を支えるため、田村さん自身は裏方に徹しながらも、確実な成果を目指して丁寧に業務を進めていたといいます。万博協会やハンガリー側との調整を担った他部門と連携し、社内外のプロジェクトマネジメントを3人体制で分担していました。

まさかの“社長飛び入り”でプロジェクト始動

万博プロジェクトへの参加が検討された当初、実は社内では「まだ橋本組には早い」との慎重な意見が多かったと田村さんは振り返ります。技術面・人員面・スケジュール面での不安が大きく、一度は社長にも話さず断る方向でまとまりかけていました。

しかし、状況が一変したのは社長が偶然、設計会社の専務と会合で出会ったことから。そこから「どうして話してくれなかったんだ」と社長が熱意を語り出し、プロジェクトが正式にスタートすることとなったのです。

「やめる理由」ではなく「できる方法」を

当初は反対派だった田村さんですが、現場責任者・浅村所長の「この日に引き渡す。では、どうするか?」という前向きな姿勢に心を動かされました。

「できない理由を並べるより、どうやったらできるかを考える」。その考え方が社内に広がり始めた頃、田村さん自身も「やるならやり切るしかない」と覚悟を決めたといいます。

海外仕様との格闘──家具調達に奔走した日々

今回のプロジェクトで特に苦労したのが、海外仕様の家具の調達でした。VIPルームの内装などは、ハンガリーのデザイナーが選定したヨーロッパ製の家具を指定。日本国内で代替品を探す試みもありましたが、デザインと品質の両立が難しく、最終的には海外メーカーと直接交渉し、輸入代理店を通じて調達する形に。

言語の壁もありましたが、Google翻訳やChatGPTなどのAIツールを駆使しながら、メールでの交渉を地道に重ねていきました。「突破口を開くまでは大変でした」と当時を振り返ります。

記憶に残る“かけがえのない建物”

建設されたハンガリーパビリオンは、万博終了後に解体される予定。しかし田村さんは、「形としては残らなくても、関わった社員の記憶や誇りとして残る」と語ります。

建物そのものが残らなくても、社内では定点カメラ映像や記録動画によってプロジェクトの過程を残しており、社員たちが語り継げる“象徴”となるでしょう。

「会社にとって誇れるプロジェクトに」

田村さんの真摯な言葉からは、橋本組が“地元密着型”から“国際プロジェクト”へと飛躍した確かな一歩が見えてきます。地方企業でも、信念とチームの力があれば世界を相手に勝負できる。そのことを、今回の挑戦が証明しています。

ぜひ動画で、田村さんの穏やかで実直な語り口と、プロジェクトにかけたリアルな思いを感じ取ってみてください。

次回も、現場のリアルをお届けします。お楽しみに!

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