私たちの技術力で「良いものを作り」、大阪・関西万博の理念である「いのち輝く未来社会のデザイン」の実現に貢献してまいります。

スタッフブログ

短工期×国際プロジェクトの舞台裏!現場で奮闘した社員のリアル体験

【2025年大阪万博】橋本組社長が語る「ハンガリーパビリオン建設」3つの困難と乗り越えた理由

 

世界が注目する「万博の華」

ハンガリーパビリオンプロジェクトに橋本組が挑んだ!

建築の力で文化を伝える。株式会社橋本組は、2025年4月に開幕した大阪・関西万博のハンガリーパビリオン建設に取り組みました。このプロジェクトは、ハンガリーの建設会社Bayer Construct Zrtとの協力による国際的な取り組みであり、異なる文化や建築スタイルが交差する舞台で、ハンガリーの文化を建築を通じて表現することに挑戦しました。

橋本組は、この重要なプロジェクトに携わり、静岡県企業として万博参加国が独自に建設する「タイプA」パビリオン55カ国のうち1つに貢献しました。地方企業による国際プロジェクトへの参画は、地域経済の活性化と技術力の証明として、深い意義を持っていました。

橋本組はこれまでに数多くの国内外の建設プロジェクトで実績を積んできており、今回の万博パビリオン建設でもその高い技術力と経験を活かし、世界に誇る建物の完成に向けて尽力しました。地域を超えて、グローバルに展開するこの挑戦は、橋本組にとって新たなステップとなりました。

パビリオンタイプAとは?

「パビリオンタイプA」は、万博で採用されている、国ごとに独自の計画やデザインを行えた「敷地渡し方式」の建築物でした。これにより、各国は自国の技術や文化を直感的に伝える展示空間を創造することができました。パビリオン自体が展示物となり、来場者に強い印象を与えるこの施設は、まさに「万博の華」とも言える存在でした。

私たちは、ハンガリーの魅力をどのように建築で表現できるかを探求し、文化とデザインの融合に挑戦しました。

2025年大阪・関西万博を取り巻く課題に向き合って

昨今、2025年大阪・関西万博では建設コストの増大や運営面での課題が報じられ、社会の一部でネガティブな見方も広がっていました。私たちも工事を進める中で、厳しい工期、複雑な大規模工事の進行、人員確保など、数々の課題に直面しました。
しかし、これらの壁を乗り越えるため、私たちは社員への徹底した教育・研修で培った確かな技術力と、全社一丸となって挑戦する前向きな社風を強みに、着実にプロジェクトを推進してきました。
1970年の大阪万博で感じた感動を、次世代を担う子供たちにも届けたいという想いは、私たちの大きな原動力となっていました。このプロジェクトを必ず成功させ、社会全体に夢と希望、そして未来への自信を広げていきました。


最先端技術と革新手法活用で工事の効率化と課題解決

設備設計に三次元CADを活用 ~意思疎通をスムーズに~

ハンガリーパビリオン建設工事において、当初からハンガリー側の協力が非常に得られ、双方はコミュニケーションを重視しながらプロジェクトを進めました。互いに三次元CADを活用して設備図面を視覚的に提示し、大量の情報を効率的に共有することができました。この方法により、限られた時間内でもスムーズに検討が行われ、施工に影響を及ぼすことなく進行することができました。

さらに、万博パビリオン特有の複雑な設計により、設備システムも高度で複雑なものとなりました。しかし、三次元での検討が可能となったことで、検討スピードが向上し、不備の削減にもつながりました。

 

 

パビリオン建設の特徴と工期短縮

ハンガリーパビリオンの敷地は、南北に約80m、東西に約20mと細長い形状をしています。この敷地の隣接エリアでも同時に建設が進められており、資材の搬入経路は南側の道路に面した一部分に限定されています。また、博覧会の開幕が迫る中で効率的に工期を短縮するため、初期の計画段階から発注者や設計者と協力し、建築の主要構造には可能な限り工場で生産された部材を使用する方針を採用しました。これにより、限られた時間内で高い品質を保ちながら、迅速な建設を実現しています。

ハンガリーパビリオン用地形状
ハンガリーパビリオン用地形状

地下階の鉄筋コンクリート壁の約8割にプレキャストコンクリート(PC)を採用しました。この選択により、従来の工法と比較して工程を約2週間短縮することができました。PC部材は最大で4トンの重量があり、大型の移動式100トンクレーンを使用して、敷地を南北に縦断する仮設構台から据え付けを行いました。全140ピースのPC部材の据え付けには、わずか2週間の作業日数を要しました。

地下壁施工状況(PC壁、大型移動式クレーン)
地下壁施工状況(PC壁、大型移動式クレーン)

ALC(軽量気泡コンクリート)パネルによる軽量化と施工効率の向上

地上部の構造には鉄骨を使用し、低層棟の床と壁、高層棟の床には軽量気泡コンクリート(ALC)パネルを採用しました。ALCはコンクリートの約4分の1の比重を持ち、水より軽いため、建物全体の重量を軽減しつつ、必要な強度、耐震性、断熱性を確保できます。さらに、ALCパネルの標準化された構法を活用することで、安全かつ迅速な施工が可能となりました。

高層棟鉄骨架構とALC床版
高層棟鉄骨架構とALC床版

ICTツールの導入による業務効率向上と人員不足の解決

効率的な業務体制の構築と人員不足への対応を目的として、「eYACHO」「sitebox」「buildee」などのICTツールを導入し、現場運営の改善を実現しました。

【eYACHO】(タブレット一つで現場業務を集約できる施工管理支援アプリ)

これまで、業者間の打ち合わせは現地で実施し、全員が現場に移動する必要がありました。
改善点Zoomとの併用により、事務所にいながら会議に参加できるようになりました。
円滑な連携eYACHO内のツールを活用することで、スムーズなコミュニケーションを実現。
特に、万博の現場では、3つの管理拠点が点在しており、協力業者や設計担当者との頻繁な打ち合わせが必要でしたが、移動時間の削減により業務効率が大幅に向上しました。

 

【sitebox】(スマホ1台で工事写真撮影と実測値記録ができる電子黒板対応ソフト)

従来、現場では手書きの黒板とデジタルカメラでの撮影・整理に時間がかかっていました。
改善点スマートフォンタブレットで簡単に撮影が完了します。
自動分類:工種ごとの写真が自動で振り分けられ、整理がスムーズに。
効率化:あらかじめ黒板内容を設定し、現場では選択するだけで作業が進みます。
これにより、写真整理や撮影準備の手間が削減され、限られた人員でも効率的に業務を遂行できるようになりました。

 

【buildee】(施工管理調整、入退場管理、安全書類作成を支援する建設向けクラウドサービス)

従来、安全書類の提出はメールや紙で行われており、手段が統一されていませんでした。
改善点buildeeを活用することで、安全書類の提出がクラウド上で一元管理できるようになりました。
共有化:これにより、主担当者だけでなく、他の関係者も提出状況をリアルタイムで把握でき、遠隔地の支援員によるサポートも可能になりました。


ハンガリーパビリオンの魅力

ハンガリーパビリオンは、壮大な草原から森をイメージした空間へと訪問者を導き、ハンガリーの文化と伝統を五感で楽しめる魅力的な場所です。館内では、ハンガリーの民謡にインスパイアされた展示エリアや、干し草の山を思わせる独創的なドームが特徴。ドーム内には最新のプロジェクション技術を活用したステージがあり、毎日没入感あふれるイベントが開催されます。

さらに、3階にはコミュニティフロアがあり、2階のレストランでは本場のハンガリー料理を、隣接するワインバーでは各地のワインを楽しめます。展示エリアの最後には、伝統工芸品や特産品を取り揃えたギフトショップも完備。ユニークな外観と共に、訪れる人々をハンガリーの魅力的な世界へと引き込む空間が広がります。

ハンガリーパビリオン – カルパチアの森の神秘を体験する

カルパチア盆地の神秘的な「森」をモチーフにデザインされたハンガリーパビリオンでは、伝統的な民謡の世界を探訪しながら、文化体験を深めることができます。

パビリオンの構成

1. ビジターユニット – 文化体験ゾーン
  • エキシビションスペース
    視覚と触覚を通じてハンガリーの歴史や文化への理解を深める体験型展示空間です。

  • イマーシブドーム
    音楽・照明・パフォーマンスが織りなす幻想的な空間で、ハンガリー民謡の世界に没入できます。

2. コミュニティセンター&レストラン – 交流促進ゾーン
  • VIPフロア
    日本とハンガリーの政治・経済外交の促進を目的とした会議や交流イベントに対応する特別な空間です。

  • レストランフロア
    伝統的なハンガリー料理を通じて、食文化を体験できるダイニングスペースです。

3. サービスユニット – 運営管理ゾーン
  • 施設の安全で円滑な運営を支える監視室・事務室・機械室を備えた技術的バックヤードです。

パビリオンの役割

ハンガリーパビリオンは、文化とビジネスの両面から日本とハンガリーの架け橋となり、両国の相互理解と関係強化に貢献します。

ハンガリーと日本の架け橋となるパビリオンを目指して

ハンガリーと日本の架け橋 – 大阪・関西万博ハンガリー館プロジェクト始動

世界が注目する2025年大阪・関西万博。その中で、ハンガリーの魅力を発信する新たなプロジェクトが動き出しました。

プロジェクトの幕開け

ハンガリー館プロジェクトは、オンラインでの国際会議からその第一歩を踏み出しました。その後、ハンガリー政府関係者とマスターアーキテクトが来日し、大阪で2日間にわたる実務者会議を開催。異なる文化や考え方を持ち寄りながら、共通のビジョンを築き上げていく過程は、まさに新しい時代の幕開けを象徴するものとなりました。

挑戦と革新

本プロジェクトには、開催までの限られた時間という大きな課題が立ちはだかっていました。また、日本国内での材料調達や、建築基準法、万博ガイドラインへの適合など、クリアすべき条件も山積していました。しかし、これらの制約は、むしろ革新的なソリューションを生み出す原動力となっていました。

文化と技術の融合

ハンガリーの設計会社ZDA(Zoboki Design & Architecture)とのコラボレーションにより、独創的なデザインビジョンと日本の先進技術との融合が進んでいます。言語や文化の違いを超えて、両国の強みを活かした独自の建築様式が誕生しつつあります。

専門家たちの結集

プロジェクトには、建築、デザイン、技術など、様々な分野のプロフェッショナルが参画しています。

  • 建築設計・構造設計の専門家
  • BIMマネージャーと技術コンサルタント
  • サインデザインとランドスケープの専門家
  • 音響・映像・照明のエキスパート
  • ドーム木製リング構造の技術者

これらの専門家たちが一丸となり、革新的なパビリオンの実現に向けて邁進しています。

未来への展望

2025年、大阪の地に出現するハンガリー館は、単なる展示施設ではありません。それは、ハンガリーの豊かな文化と誇りを世界に発信する舞台であり、日本とハンガリーの絆を深める架け橋となることでしょう。

このプロジェクトに関わる一人ひとりの情熱と決意が、かつてない感動的な空間を創り出します。大阪・関西万博での感動的な出会いを、どうぞご期待ください。